サタデーブックスとシン図書室が主催する読書会です。
日時:2021/11/28(日) 10:30~12:00(10:00開場)
会場:サタデーブックス(所沢市西所沢1-17-13, 西武池袋線「西所沢」駅徒歩2分)
課題図書:『存在しない女たち: 男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く』(キャロライン・クリアド=ペレス, 2020)
以下、選書を担当した
シン図書室の高橋真理奈さんからの推薦コメントです。
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この本はイギリスで出版され、去年日本で翻訳版が出版されました。私は今年になって読みましたが、今年一番衝撃を受けた本です。
生物学上、女性は世界の人口の半数を占めているはずなのに、なぜかその半数の女性は「存在しないもの」として扱われているのではないかということを、あらゆる研究データから次々と指摘する本です。
例えば、この本の最初に紹介される除雪作業があります。ここでは、日常の移動パターンが男性と女性で複雑さが全く異なることが紹介されています。男性は朝と夕の出勤だけで、非常に単純な移動パターンです。
世界における無償のケア労働の75%は女性が担っており、スーパーへの買い出し、子供の送り迎え、通勤など、女性の移動パターンは非常に複雑になります。そのせいで徒歩や自転車などを使うのは圧倒的に女性が多いそうです。
除雪作業は当たり前のように線路や車が通る車道が優先的に除雪され、歩道は後回しになります。歩道が後回しになることで、凍結による転倒事故の負傷者は女性が大多数であることがわかりました。
他の章では、音楽楽団に所属する団員の数が男性が多く、それは男性の方が優秀な演者が多いと思われていましたが、男性か女性か分からないように入団テストを行ったところ、女性の方が結果的に多くなったことが紹介されています。
このように、「公平」に扱われていると思っていたことが、当然のように男性ばかりが優位に扱われていることを次々とあばきだす本となっています。
記憶に新しいことだと、日本では2018年に医学部不正入試問題がありました。受験という誰もが平等に点をつけられると思っていたものでさえ、女性は一律で減点されていました。また女性のみならず、浪人生についても減点対象となっていました。
10代の若者に対しては厳しい指摘になりますが、世の中は平等・公平にはできていないということがデフォルトだと認識した方ががいいと思います。
むしろ「世の中は不平等である」という認識があるからこそ、「存在しない」ものとして扱われる人々に目を向けることができると思います。少しでも多くの人が生きやすい世の中になるためにも、まずは厳しい現実を知るために読んで欲しい一冊です。
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【準備いただきたいこと】
①課題図書を各自お手元にご用意ください。
②感想をまとめてきてください。
※分厚い本なので通読する必要はありません。目次を見て気になったところだけ読んで感想をまとめていただければ結構です。
※下記を意識すると感想が出てきやすいと思います
・共感した点(実体験があると○)
・より深めたいと思った点
・分かりにくかった点
【定員】
6名
【参加費】
参加無料ですが、1ドリンクご注文をお願いします。
関連
昨日はありがとうございました。
読書会には参加できませんが、『存在しない女たち』高橋様の推薦コメントにすごく興味を持ちました。
3日に放送されたNHKスペシャル ジェンダーサイエンス(1)「男X女 性差の真実」の中で「男女の区別の変化が現れたのは飛鳥から奈良時代。大宝律令という法律で、国民の徴兵とか納税が義務づけられて戸籍で男女を明確に分けるようになり、社会の統率や国力増強を効率的に行おうとするために社会の仕組みとしてジェンダーが都合よく利用されてきた」と言っていましたね。
また、高橋様から借りた「サル化する世界」を読み終えてから多様性に関して調べたくなり、図書館から「多様性対話」「多文化共生に生きる」を読み、感じたことですが、私達は日常を何気なく過ごし、それが当たり前であり、いろんな問題に気づいていないところがあるように感じます。