2019年6月23日(日)、所沢市と東村山市にまたがる狭山丘陵で「PHOTO WALKING メイちゃんを探して」を開催しました。
本イベントは、「ベッドタウンからライフタウンへ」をコンセプトに地域を編集するプロジェクト「西埼玉暮らしの学校」の主催イベントとして開催。西埼玉の魅力的な地域資源である「身近な自然」にフォーカスし、里山歩きを行いました。
特徴は、カメラを通して身近な風景の中に新しい気づきを発見すること。講師には所沢市在住の写真愛好家で狭山丘陵の撮影を数多くしていらっしゃる平本仁一さんをお招きし、写真はもちろん、自然や歴史など多岐にわたる解説をいただきました。
集合場所は所沢駅西口ロータリー。挨拶と簡単なオリエンテーションの後、西武園行きのバスに乗り込みました。参加者は運営も含めて6名。所沢市と周辺市に在住の方ばかりですが、このバスに乗ったことのある方はほとんどいないようでした。地元だと自家用車などで移動することが多いので、公共交通機関を使って狭山丘陵にアクセスできることも新鮮な発見だったようです。下車する水天宮下のバス停までは、ほんの10〜15分程度の乗車時間でした。
バス停から徒歩5分ほどで最初の目的地「仏眼寺」に到着。このお寺の参道には映画『となりのトトロ』で迷子になったメイちゃんが途方に暮れるシーンで登場するお地蔵様のモチーフ(といわれている)「六地蔵」があります。イベントのタイトルの通り、今回のテーマの1つは映画『となりのトトロ』のモチーフとなった場所を歩くこと。ここで本日1回目の撮影タイムを行いました。
【参加者撮影写真一例】
次に仏眼寺の横の坂道を登り、丘の上にある鳩峰八幡神社と水天宮を訪れました。森の中に佇む本堂がいい味を出しています。雨上がり、森からは土の香りがふわっと漂ってきます。
八幡神社では2回目の撮影タイム。ここでは平本さんに写真撮影の基礎レクチャーをいただきました。
ポイントは、「しっかり構えて、ピントを合わせて、撮りたいものを撮る」こと。
つぎにやってきたのは「トトロの森 2号地」。ナショナルトラスト運動(有志の手で山林を購入し、開発の手から守る運動)「トトロのふるさと基金」が寄付を元に土地を購入し、1996年に指定されました。同基金は現在も企業や個人会員の寄付によって活動を続けており、平本さんもボランティアとして活動に携わっているとのことです。
【参加者撮影写真一例】
トトロの森2号地のある丘を降り、住宅街「松ヶ丘」を超えて南側の丘を登ります。やってきたのは、埼玉県と東京都の境目で狭山丘陵の東端に位置する「八国山」です。映画ではメイとサツキのお母さんが入院する「七国山病院」がある地域のモチーフとなりました。
八国山の入り口近くにある「将軍塚」は、鎌倉時代末期に、鎌倉攻めをする新田義貞が陣を置いた場所。すぐ下が「久米川の古戦場」となります。現在の群馬県から進軍してきた新田軍はこの付近で迎え撃つ鎌倉幕府軍と衝突。勝利を収め、鎌倉へと攻め上がります。当時はこの地域が重要な街道筋であったことがわかります。
現在では丘陵の木立の中にこんもりとした塚があり石碑が建っています。
八国山の稜線は東京と埼玉の都県境。ここからは西埼玉を離れます(笑)
東京都側は都立公園として整備されていて、遊歩道や気持ちの良い広場も整備されています。広場で昼食休憩を取ったのちに、八国山の南斜面へと進みます。
さて、八国山は縄文時代から人が生活していた場所でもあります。縄文の人々は、山で採れる木の実や動物などを糧とし生きていました。八国山の南に隣接する、東村山市の施設「八国山たいけんの里」では平成8年に同地で発見された「下宅部遺跡」の出土品を見ることができます。この日は学芸員の方にご案内をいただきました。※館内写真がなくてすみません。
当時の人々が使っていた弓矢や漆製品、植物で編んだカゴなどの説明を聞き、ブラタモリ的なマニアックな興味がムクムクっと湧いてくるスポットでした。
続いて、こちらも八国山に隣接する「北山公園」に移動。
この公園は花菖蒲が有名で、毎年6月に見頃を迎えます。ここで3度目の撮影タイムを行いました。紫陽花も見頃でした。
【参加者撮影写真】
さて、今回のPHOTO WALKINGも終盤。最後の目的地として東村山市野口町にある「正福寺」を訪れました。正福寺の「地蔵堂」は国宝に指定されている建築物です。建立は西暦1407年(室町時代)。鎌倉の円覚寺舎利殿とともに禅宗様建築の代表的遺構として知られています。鎌倉までは距離がありますが、この地域が鎌倉と一続きの文化圏だったことがよくわかります。
【参加者撮影写真】
最後に記念写真をしてこの日の行程を終了しました。
この後にコワーキングスペース所沢ノードに場所を移して、撮影した写真のシェア会も行いました。
西埼玉の魅力を知るという面からも、写真撮影を楽しみながら学ぶという面からも、参加者の皆さんにはとても満足いただけたように思います。
自分たちの住む地域を楽しむイベント。一人ではなかなか出会えなかった地域の魅力に触れることができた機会になったと思います。
西埼玉暮らしの学校では、今後も様々な方法で地域の魅力的な場所や人をつなげる企画を続けていきます。
ご参加いただいた皆さん、講師の平本さん、コーディネーターの西村さん、お疲れ様でした!
(文責:西埼玉暮らしの学校・大竹)
【講師】
平本仁一
写真愛好家。地元所沢を中心に撮影した写真をもとに個展開催歴あり。
【コーディネーター】
西村直樹
所沢で活動するフリーランスのデザイナー。
本企画のアイデア出し、ビジュアル作成に
携わっています。